FUJI ROYAL みるっこR-220について
どこか懐かしさを感じるフォルムに、聞き覚えのあるグラインド音。室内にフワッと広がるコーヒーの豊かな香り。喫茶店が好きな方ならお店で使用されているのを一度は見たことがあるのではないだろうか?最近ではスペシャルティコーヒーのカフェでもよく見かける。
フジローヤルみるっこの魅力は業務用と家庭用の垣根を無くした事だ。それはみるっこのHP上の製品紹介にもあらわれている。
●業務用としてもご使用頂けます
coffeeloverにとってこの一文より心強い紹介文は無いのではないか。挽き目の安定性はもちろんのこと、粒度調節の幅、使用間隔を含めた耐久性までも業務用使用を可と記載するのはマシンへの信頼そのものである。
1955年より真摯にコーヒーと向き合い数々のコーヒー機器を製造してきた老舗メーカー富士珈機。そのロングセラー商品は疑いようの無い日本が誇るコーヒーミルであった。
本体重量 : 4.6kg
ホッパー容量 : 250g
電源 : 100V 50/60Hz
消費電力 : 130W
粉砕能力 : 400g(毎分)
みるっこ R-220(グラインド臼)
FUJIROYAL公式HP
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みるっこ R220のレビュー(評価の高いところ)
グラインド速度
1番に伝えたいのはグラインド速度。僕はいくつものコーヒーミルを使用してきたのでハッキリと言い切れるが、グラインドスピードは家庭用最速。
豆を挽く時間が早いことが良いか悪いかは別として、コーヒーグラインダーにとって均一性を高めるためにモーターの強さが重要なスペックとなる事は間違いない。
みるっこは1分間に250gを粉砕する能力を持つ。15gであれば5秒程度である。近似する価格帯のKalita NEXT Gが15gを25秒で挽くのと比較すると遥かにグラインドが早い。
毎日のことだからこの違いって結構大きいんだよね
実際に電源を入れてモーターを回転させると、コーヒーミルの内部にずっしりと重い軸が発生するのが分かる。実際使った人でないと分かりづらい表現になるが、豆を投入する前に直感で良いグラインドができるのを確信できる。
美しいメッシュ(粒度)
“コーヒー豆の持ち味をそのまま伝える挽きの良さ”と謳っているとおり、非常に安定したバラツキの少ない美しいグラインド。
実に驚いたのは粒度分布がとても狭いことだ。ここまで綺麗に同じ大きさの粒が並ぶ様子には少しの間、見惚れてしまう程の『美』を感じた。
均一性を高めるフラット刃(グラインド臼)
安定したメッシュを支えるのは、みるっこの特徴的なミル刃。写真のように立体的な突起が規則的に配列されている。
これ実際に見ると、みるっこの販売価格が高いのも頷けるよ。いい仕事してるって
2枚のフラット刃で高速回転しながら挟み込み豆を崩す。みるっこグライド式ではその際に無数の突起で挽臼のようにすり潰していく。突起を抜ける頃には見事なまでに均一にメッシュが整って粉受けへ落ちる仕組みだ。
豆を均一に『砕く』という言葉が適切。この点では同じフラット刃でも、カット臼グラインダーにより『CUT』された豆とは断面は異なる。
・コニカル刃・コーン式…立体的な螺旋形状。フラット刃よりも低速な回転で豆を擦り潰すように砕く。回転数が低いため騒音や熱の発生を抑えることが可能
・フラット刃(カット臼とグラインド臼)…平らな形状の上刃と下刃が高速回転して豆を切り刻むように挽くタイプ。近年では業務用の最上位モデルでもフラット刃が使用される機種が増えている(EK43やE80S、Mazzer majorなど)。カット臼は無数に並んだ鋭利の刃で切り刻むイメージ。グラインド式は臼のように挟み砕いて挽くためどの粗めの粒度ではカット式より均一性が高いことが多い。強いモーターが必要で摩擦熱が入りやすい。
グラインド音量
65デジベル
これは少し大きな声での会話程度であり、他のグラインダーやコーヒーメーカーにみられるような掃除機やバスの走行音、電車の中のような騒音とは異なり音量が抑えられている。家庭用最強とされるモーターによるフラット刃の高速回転が、投入した際の豆との衝突時における粉砕音を少なくしている。
夜に隣近所や家族のことを気にせず使用できるレベルなのは本当に助かる
また5kgとずっしりと重いマシン重量(Kalita NEXT Gの1.5倍)はグラインド時のマシン本体の揺れを防止し、その硬質な素材はマシン内部でグラインドした音を一定程度遮音する役割も果たす。
日増しに好きになるデザイン
ポッテリとしたデザインで、スマートさを求めるcoffeeloverは敬遠する層もあるかもしれない。実際に僕自身がその1人だったけれど、備え付けの受缶をステンレスにするだけで印象は随分と変わる。
そして、使い始めると作り込みの良さに魅了され愛着が日増しに強くなる。デザインも然りである。
一目惚れも素敵だけど、中身を知って愛おしくなると長続きするのって道具も人間関係も同じだと思う
1度に200gをグラインド可能なマシンパワー
家庭用では十分過ぎるホッパー容量。この大きさは普段使いには必要ないが、家族や知人にコーヒー豆をグラインドして一定量を配る時などには便利。
業務用にも使えるだけあって連続使用しても全く心配が無いし、ブレもなく、あっという間にグラインドしてしまう。このマシンパワーの余力がグラインド精度や故障の少なさに繋がっているのだろう。
グラインド精度の検証
【メッシュ#1】細挽き モカエキスプレス
【メッシュ#2】細挽き モカエキスプレス / ハンドドリップ(濃いめ)
【メッシュ#3】中細挽き ハンドドリップ
【メッシュ#4】中細挽き ハンドドリップ(クリア)
【メッシュ#5】中挽き ネルドリップ / ステンレスフィルター /水出しコーヒー
【メッシュ#6】中挽き サイフォン / ネルドリップ
【メッシュ#7】中粗挽き フレンチプレス /
【メッシュ#8】粗挽き フレンチプレス / パーコレーター
【メッシュ#9】粗挽き フレンチプレス / パーコレーター
どのメッシュも均一性が極めて高く、みるっこR220を業務用で使用している店が多いのも頷ける。
19段階の粒度調節機能
粒度調節はダイヤル1〜10の間で0.5段階ずつ計19段階の調節が可能。淹れ方に合わせてメッシュの細かな調節ができるのは嬉しいところ。
ノーマル刃での使用感にはなるが、細挽き〜中細挽きの挽き目が充実している。自宅でハンドドリップによる抽出がメインという人は豊富な微調整によるこだわりの一杯を楽しめるだろう。
ハンドドリップとかCLEVER抽出が主流の僕はこの粒域帯が充実しているのがかなり嬉しい
Kalita NEXT Gとの比較
粒度の均一性ではみるっこに軍配。しかしながら、みるっこはグラインド式、Kalitaはカット式のミルのため単純な比較だけで味の甲乙までは付けられない。
飲み比べると、同条件ではみるっこの方が濃く、マイルドな味で抽出される。Kalitaはクリアで、特に果実感などの酸味が引き立ち易やすい。
Kalita#2(2番目に細かい粒度)と同じメッシュがみるっこ#5.5(10番目に細かい粒度)だったことにも少し驚いた。前述したとおり、みるっこのメッシュ幅の余力が凄いと感じた。
断面比較
もはや理科の実験の域になってしまうが顕微鏡で断面を観察してみると予想とおり以下のような興味深い結果となった。
みるっこ(ノーマル刃:グラインド式)で挽いた豆は8面体のように一粒にいくつもの切り口が存在し、湯と接する部分も多い。それに対してKalitaネクストジーのようなカット式では切り口が少なく、細長く平たい切り口になりやすい事が分かる。形状については肉眼でも違いが判別出来る。
上記結果として(以前から言われている通り)、みるっこでは湯との接する面積が多く、長く接するためコクのあるマイルドな味に仕上がりやすく、Kalitaではクリアなスッキリとした味わいになりやすいと考えられる。
みるっこの弱点・ウィークポイントは?
微粉と静電気
みるっこについて調べると必ず出てくるのが静電気問題。グラインド時に発生した微粉が静電気に付着しやすく、マシンや受缶に幅広く付着する。
試しに透明なカップで外側から見えるようにしたところ以下のように飛散しているのがよく分かる。マシンから30㎝離れたところまで粉が飛んでいたので、挽き方を間違えると事故レベルだ。
ワイルドだろぉ〜的な感じで。パワーがある証拠だ
対策としては備え付けの受缶を使用するか、ステンレスの受缶を持ち上げて粉落ち部分との隙間を無くすこと。それでも静電気は発生するし、多少の飛散は避けられないが、慣れてくると、許容範囲に抑えられるようになるし、掃除も早くなる。
何よりもグラインド後のメッシュを見ると、あまりのメッシュの美しさに許してしまう自分がいる。
上の写真のようにステンレス受缶をここまで密着させても微粉は台座に散っている。微粉の分離にも繋がっているし、手間と美味しさのトレードオフだと思って美味しいコーヒーを飲んだ後に心を込めて掃除しよう。
エスプレッソ対応(極細挽き)はできない
今回ご紹介している「みるっこ ノーマル刃:グラインド式」では最も粒度の細かいダイヤル1にしてもエスプレッソ用の極細挽きにはならない。エスプレッソにも使用したい場合は別途、カット式の挽刃を購入するか、はじめからカット臼(エスプレッソ対応)モデルを購入する必要あり。
なお、前述したようにみるっこの特徴的なノーマル刃が恐ろしく揃ったメッシュを生み出している。カット式にするということは、良い点も悪い点もあり、自身がどちらの味やグラインドタイプを求めるかによって考えて選択すべきだろう。
あとから追加でカット式の刃を購入できるので、入り口はスタンダードなグラインダー刃のタイプからでいいと思うよ
- みるっこ エスプレッソ対応モデル click
価格
5万円〜6万円が相場
実売価格で5万円オーバーとなる値段は家庭コーヒーミルの中ではかなり高額。カリタのネクストGが実売価格3万5千円程度であることを考えると、この価格差を埋めるほどの満足感を得られるかは使う方の飲み方や嗜好次第。
みるっこ買わないで結局グレードUPしてみるっこになる人はいても、みるっこ買って次に行く人は聞いたこと無いんだよな
レビューまとめ
長々と説明してきたが、“みるっこ”はプロから愛好家まで全ての人にオススメのコーヒーミルである。喫茶店全盛期の立役者と言っても過言でない富士珈機がFUJI ROYALとして、コーヒーミルをはじめ、焙煎機や周辺機器の製造で長年培った技術を家庭用にも届けてくれたのが“みるっこ”なのだ。
Made in Japanの信頼が揺らぐような出来事も増えてきた近年において、1955年の創業以来、一貫して国内自社工場での製造にこだわり続ける姿勢と経営理念が、堅牢かつ信頼のおけるパートナーとして世界中のコーヒーショップやcoffeeloverから長年支持される理由なのだろう。
ショップ限定カラーなども存在するので、自分好みの“みるっこ”を探してみるといい。本当のMade in Japanを感じずにはいられないほどに、あなたの日々のCoffeeLifeが一段と豊かな時間になることだろう。
みるっこ R-220
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みるっこ R-220 (カット臼)
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