Makuake にて7月31日より公開
個人的に最近注目しているコーヒー関連器具のブランド『 oceanrich 』より待望の新商品、ポータブルコーヒーミルG1がリリースされる。間も無くクラウドファンディングで公開予定だが、その前に実機を使用する機会を頂いた。
このコーヒーグラインダーの性能はこのあと徹底レビューすることにして、そのまえに…
かっこいい。デザインが素敵。
実物を触ると、ブラックの部分はマットな質感でステンレスは磨き込まれている。センスがいい。
国内企業のデザインってどこか洗練さに物足りなさを感じてしまう事が多いが、このグラインダーはとても僕の好み。所有欲をくすぐられる。これは性能も期待大。
実際に使用してみると、これからコーヒーを本格的に始めたいと思っている人はもちろんのこと、既にこだわりのコーヒーグラインダーを持っている人にもオススメできるマルチシーンで活躍するアイテムだった。
oceanrich(オーシャンリッチ)
ライフスタイルを豊かにする奇抜なアイデアを形にする集団、株式会社ユニークが販売を手掛けるコーヒー向けブランド。
目指す姿は“成熟したコーヒー文化にも大きなインパクトを与えたい。手軽さと、本格さを持ち合わせたプロジェクト”と掲げるとおり、同価格帯の既存製品では実現できなかったユニークな発想から生まれる時流を捉えた商品開発が特徴だ。実際に既に発売されている商品も着眼点が良く、顧客満足度も非常に高い。
今回のコーヒーミルG1について言うならば、既に飽和しているように見えるコーヒー器具と、その需要に対して、どこまで新しい風を吹き込めるかが緻密に考えられている。言葉で表現するのは難しいが、よくある「この新しい機能を商品化させよう」ありきで、付随させてその他の機能をセットした不勉強な商品と異なり、「既存商品にない新しいアイデアを」+「理想としてはここまで本格的に作り上げたい」として一度構想した製品から「消費者の多くが求める価格帯」とのバランスを調整して機能・素材を減算しながら作り上げた商品だろう。
このブランドには『簡易さ』や『手軽さ』に相反するはずの『本格さ』や『丁寧さ』といった作り込みを見事に共存させ取り込まれている印象を強く受けた。
これができている企業(製品)って少ないよね
oceanrich コーヒーグラインダーG1 製品仕様
本体重量 : 485g
最大投入量 : 20g
電源 : リチウム電池
連続使用回数 : 20杯分(満充電)
付属品 : クリーニングブラシ、充電用USBケーブル
: 滑り止めシート(EVA素材)
: メジャースプーン、取扱説明書
製品保証 : 1年間
oceanrich Portable mill G1の特長
マイクロUSB充電&ポータブル
micro USB充電はありそうで無かった機能。僕の場合はこれがオフィスで最高に役立つ。食堂にkalita NEXT GとかVARIO-Vを置いておくのは気が引けるし、コーヒー豆挽きます的な感じでハンドグラインダーを持ち歩くのも何処か違う気がして。。
結局、朝晩は自宅でこだわったコーヒーを飲んでいるけど、実のところ日中はコンビニコーヒーで我慢することが多い。職場近くに自宅で淹れるコーヒーより美味しいコーヒーショップも無いし。そんな人って意外と多いのでは無いかと思う。バリスタの人は自分の店か自宅かで本格コーヒーを淹れる環境が常に整っているだろうけれど、多くのCoffeeLoverはそうでは無いのだ。
このオーシャンリッチG1は机の上で充電しておいてもデザインが優れているので、お洒落な小型空気清浄機くらいにしか思われない。『これからコーヒー飲みまーす』みたいないやらしさが無いのがいい。仕事をしながら満充電したら約20杯分はグラインドできる。電源不要のため好きな場所で、こだわりの豆でグラインドできるのだ。
iPadでも、携帯用バッテリーからでも充電できるから場所を選ばない。自宅でもアウトドアでもUSB充電だとすごく便利
ミル刃は衛生面と耐久性に優れたセラミック素材を使用
セラミック刃を使用しているため水洗いも可能で衛生的。摩耗もしづらくメンテナンスもあまり必要としない。また、このポータブルなサイズでありながらコニカル刃・コーン式で作られている。低速でグラインドするため豆へ不要な熱を伝えるのを防ぐ。
・コニカル刃・コーン式…立体的な螺旋形状。フラット刃よりも低速な回転で豆を擦り潰すように砕く。回転数が低いため騒音や熱の発生を抑えることが可能
・フラット刃(カット式とグラインド式)…平らな形状の上刃と下刃が高速回転して豆を切り刻むように挽くタイプ。カット式は挽き時間が早く、微粉が少ない。グラインド式は臼のように砕いて挽くためカット式よりも均一性が高いことが多い。反面摩擦熱が入りやすい
挽いた豆を密閉保存できる
※付属品としてシリコンマットのコースター(粉受けのガラス容器の滑り止め)が付いてくるとのこと
あくまでもシンプルかつ無駄のないプロダクトデザインを意識しているからこそ、ミルの上部をガラス容器の蓋にしようなんてことが思いつくんだろうな。ミニマルでいてデザインも素晴らしい。
グラインダーの自動停止機能
豆がなくなると自動で電源OFFにしてくれる。当初あまり必要な機能では無い気もしたが、かなり低速なので意外と便利。職場環境などでは、ながら作業ができるのは嬉しい。
使用者の手間をいかに無くすか。よくこだわっている証拠だね
5段階のメッシュ(挽き目)テスト
【挽目ダイヤル1番】 細挽き モカエキスプレス
【挽目ダイヤル2番】 中細挽き ペーパードリップ(濃いめ)
【挽目ダイヤル3番】 中細挽き ペーパードリップ(クリア)
【挽目ダイヤル4番】 中挽き サイフォン / ネルドリップ
【挽目ダイヤル5番】 中粗挽き フレンチプレス / ネルドリップ / サイフォン
粉の粒度(メッシュ)はペーパードリップで使用する#2や#3あたりは合格点。コニカル刃の特長でもある細かい挽き目では擦り潰すグラインドにより粒度が揃いやすい。
反面、#4や#5ではバラツキが大きいという結果となった。
ポータブルのグラインダーと聞いて性能を舐めてた。ハンドドリップの使用なら十分な性能だろう。
HARIOセラミックスリム(手挽き)、VARIO-V(電動)とのメッシュ比較
oceanrich グランダー G1とVARIO-Vとの比較
左と右、どちらが『oceanrich(約6,000円程度)』でどちらが『VARIO-V(30,000円)』か分かるだろうか?
【正解】
同じコニカル刃・コーン(円錐)式で超優秀な万能グラインダーであるVARIO-Vと比較しても、メッシュ#2や#3ではほぼ遜色ない結果に。VARIO-Vはエスプレッソ挽きも可能だし、#4以上では明らかに粒度の安定性に差が生まれるが、ペーパードリップがメインの人にはoceanrichの精度も劣らない。
HARIOセラミックスリムとの比較
こちらはコニカル刃・コーン式かつ同じセラミック刃を使用している手回しタイプのHARIOのコーヒーミルと比較すると、精度の差が一目で分かる。オーシャンリッチのコーヒーミルは、低価格帯とは一線を画すグラインド精度を持つ。
oceanrich 自動コーヒーミルの使い方
豆の粗さ(メッシュ)を調節
グラインダーはどれもそうだが、豆を投入する前に挽き具合を調節すること(ストッパーがある場合を除く)
メッシュの調節も、本体を外す・粉受け瓶を外す際も全てステンレス部を支点に強く握り必要箇所を回転させるのがコツだよ
豆を投入
スイッチオン→自動停止
前述したとおり長押しする必要が無く、引き終わると自動で停止。
グラインド中はブルーのインジケーターが充電残量をお知らせしてくれる
商品について思ったこと
GOODポイント
なんと言ってもコードレス&USB充電じゃないかな。これは使用する人によっては日々のCoffeeLifeを変えるくらい『新しい』ものであるし、便利に感じる人が多いと思う。それでいながらグラインド精度も一般的に使用される粒度ではかなり優秀。
でも個人的に一番気に入ったのはデザイン。カラーセレクトなんて抜群だと思う。oceanrichが印字されているレッドカラーの部分とかインジケーターのブルーとかもカッコ良すぎ。僕はデザイン性に優れていることは性能と同じくらい大事だと考えている。だってコーヒーは味だけでなく、日々のシチュエーションから愉しむものだと思うから。
だからこそ、ここに手を抜かないメーカーは時勢を良く分かってると思うし、信頼できる。
あとね、すごく細かいところだけど、画像のとおり、ガラスの粉受けを外したときに本体部分が自立して置けるところとかも地味に嬉しい。敢えてそうなるように爪が作られている。そっと置けばテーブルに粉も落ちにくいし、こういう購入者が後からデメリットにあげそうな所を開発段階でよく研究している。
BADポイント
一方で気になるところは、セラミック刃を清掃するための分解ができないこと。ミル刃についた微粉や粉砕されずに残った粉などは少なからず発生するが、基本的には付属の柄の細いブラシで清掃するにとどまる。
長期で使用しない場合や定期メンテなどの時には水洗いも併用することで改善できるのはセラミック刃ならではのメリットだろう。
また、日頃の使用では古い粉を落とす意味でグラインド前に1〜2粒の豆を投入してプレグラインドすると抽出後の風味も守れる。因みに、分解できないようにするのはコーヒーミルにとって(特にハンドグラインダーでよく見られるが)ミル刃を回転させる軸がブレることは精度を悪くする最も大きな原因とされるから。
安くて精度の悪いハンドグラインダーの持ち手がグラグラするのはこのためだ。HARIOのセラミックスリムなんかが典型例だろう。ドイツ製の高価かつ優秀なミルのzassenhausなんかは軸がネジやピンでがっしり固定されていて全くブレない。
つまり心臓部であるミルを分解させないのは使用者を守るメリットでもあるのだ。
終わりに
これだけの性能で価格はなんと6,000円程度を予定しているとのこと。良い時代になったと思う。自宅で豆から挽くコーヒーを始めてみたい人のエントリーミルとしては申し分無いだろう。そして僕みたいなCoffeeLoverにとってもオフィスやキャンプでの使用等、場所を選ばず、電源なしでいつでも挽きたてコーヒーが愉しめるようになる。
お気に入りのコーヒーショップで購入した豆を容器に詰めて、oceanrichミルで挽きたてのCoffeeでホッと一休み。それは、あなたとCoffeeを今よりもっと身近に、そしてより豊かなCoffeeLifeにしてくれる道具となることだろう。
追記 2021.05: 1年半使用してみて
一年半にわたり定期的に使用して感じたのは意外にも ”電動の煩わしさ”であった。
いくら簡易なUSBといえど、定期的に充電しておくのは面倒だしエコじゃないなと。据え置き型マシンで20g以上をグラインドするのと違い、この程度の1〜2杯のコーヒー豆であれば手廻しでグラインドする方がずっと楽。
また、特に気になったのが、ミル刃と豆の噛み合わせが悪いときに回転停止してしまうことがある点だ。こうなってしまうと粉砕中の豆を一度取り出してという大変面倒な作業が入ってしまう。確率は1割未満でも1度や2度でなく遭遇しているので、これはかなりのイライラポイントだ。
そして一番は抽出したときの味かな。やっぱりセラミック刃はエントリーモデルとしてはいいが、購入する豆にこだわりだすとステンレス刃のグラインダーで挽いた風味の良さには到底及ばない(グラインドの均一性だけが美味しさではない)。これが3千円くらいのミルなら諦めもつくが、5千円以上するとなると比較してしまう。
デザインはとても好みなのだが、ポータブルサイズの小型電動ミルってハンドグラインダー市場に食い込むのってかなり難しい気がした。数ヶ月使用すると、結論「ハンドグラインダーがいい。音量も味も、ポータビリティも」となってしまうんだよね。そして極めつけに「デザインも」と。
人の好みはそれぞれなので、意見が分かれるところなのかもしれないが。僕は使い捨てになる器具よりも長く愛用できる道具を選びたいかな。