美しい。そして無駄がない。
洗練されたフォルムからは、これがコーヒーグラインダーだとすぐに分かった人は少ないのでは無いか。
最近はデザイン性の高いコーヒー器具を見る機会も多くなったが、ここまで突き抜けているのは珍しい。
かっこいいだけじゃない。性能も完全に突き抜けていたLagom P64 Flat Burr Grinderについて分かっていることをまとめてみた。
Option-O(オプション-オー)が手掛ける最先端コーヒーグラインダー
Lagom P64グラインダーはオーストラリアのメルボルンを拠点とするデザイン・エンジニアグループOption-Oが製造する電動コーヒーグラインダー。
このOption-Oという会社、勢いのあるコーヒー業界へぽっと出で稼ぎにきた訳ではなく、同じくオーストラリアの手動ハンドグラインダーメーカーであるHelorと合併し、目の肥えたCoffeeLoverのため洗練された家庭用電動グラインダーをつくるとのコンセプトの下、開発に着手。
Helorといえば数年前に『Helor 101 Hand Coffee Grinder』として洗練されたデザインと精度の高いグラインドで、評判となった製品の製造会社。
「自宅にEK43を設置することは現実的な選択肢ではないことが多い」として大規模な商業用グラインダーの性能を家庭用グラインダーに融合させるための試行錯誤と研究を行い、誕生したのがLagom P64なのだ。
家庭用グラインダーで比較対象が現最強グラインダーのEK43ってのがすごい
Lagom P64の性能
気になる性能だが、控えめに言ってモンスター級。金属構造は数十年の寿命をもつ商業用グレードの部品を使用しており、世界標準の公差等級IT6という誤差の少ない高品質な一体構造から電子制御されグラインドされる。
※公差…許容される誤差の範囲
無段階の粒度調節
粒度調節は無段階でエスプレッソからフレンチプレスまで全てのメッシュに対応。グラインダーの回転数はユーザーの好みで設定可能。モーターの性能が極めて高く、豆は電源起動前に投入しても構わないという。
本来グラインダーは豆を投入前に空回転させる必要があり、刃を安定速度まで回転させてからストッパーを外して豆を落とす。これを怠ると、刃が速度不足の状態で豆と衝突するため負荷が大きくなりグラインド刃や機器の損傷や劣化の原因となっていた。
Lagom P64では強力なBLDCモーターが使われており、負荷がかかっても安定した速度制御が行える。これは同じ定格のACモーターと比較して3倍の出力トルクを持ち、300W BLDC motorにより焙煎度や抽出方式に関係なく十分な粉砕力が得られる。そして通常の(ブラシ付き)モーターと異なりメンテナンスも不要なのだ。
※BLDC…ブラシレス ※トルク…軸の回転力
ホッパーがない
Lagom P64がコーヒーグラインダーに見えない理由。それは電動コーヒーグラインダーにあるものが無いからだろう。そうホッパーだ。このLagom P64は家庭用ということもあり、一度に100gとか200gの豆をホッパーに保存して必要量をグラインドするといった使用はしない。
ユーザーは自分が使用する1杯分や家族・友人と飲む2〜3杯分だけを投入してすぐに全てグラインドして抽出する。これはとても理に適っている。家庭用では豆を必要分だけ計り、湯量を決める。自宅でホッパーに豆を保存しておく人は殆どいないだろう。
せいぜい豆をグラインドした際の跳ね返り防止程度にしかなっていないのだから、デザイン的にも無くても面白い。豆は最大で40gまで投入が可能。
最大の特徴は刃
グラインド刃は『standard』と『Red Speed』の2種類から選択ができる。結論をいうと、2つのどちらの刃を選択したとしてもエスプレッソからフレンチプレスまで全てのグラインダーが可能。
僕はこのフラット刃でグラインドされた豆の風味がとても好み。円錐形のコーン式と比較すると微粉が少なく、フレーバーが際立ちやすい。特に近年のスペシャルティコーヒーの豆との相性は抜群。
Standard
中煎り〜深入りを好む場合に適する。中煎り以上が得意とするチョコレートフレーバーを提供するのに優れた刃の構造となっている。挽き目についてはRed Speed刃と比較すると、微粉がより多いため深めの味の抽出に適する。
浅煎り〜中煎り、メッシュはエスプレッソからフィルターコーヒーを提供するためのグラインドに適する。微粉が少ないため浅めのローストからフレーバーを最大限に引き出すことが可能に。Red speedとは窒化アルミニウムチタンコーティングされた刃のことを言い、耐久性は約25倍に。
テストデータでは5000kgまでの使用に耐えており、僕の1日30g程度の使用環境では計算上456年(166,666日)持つ計算になる。家庭用ではほぼ永久使用可と考えて良いだろう。
このRed Speed刃の形状は業務用最高峰のMahlkonig(マールクーニック社)の『Kenia and Mahlkonig Guatemala Lab bulk grinders』や『EK43』から着想を得ている。
専門的な話になるが、これは典型的なエスプレッソ用グラインダーにみられるbimodalな粒度分布(粒体:meshと微粉:finesの2峰性で構成)ではなく、unimodalな粒度分布(粒体:meshが中心の微粉が少ない単峰性)によるグラインドを可能にする。
そして、より力強い刃にするために刃に刻まれてる0.5mm間隔の線の形状の長さや各部品間の緻密な調節がされ、直径83mmの刃も稼働できる余力たっぷりのBLDCモーターを使用することでグラインド時の豆との衝突で回転軸が失速することが無いように設計。
広範囲におこなったテスト結果によれば、EKなどの商業用のグラインダーにみれれる直径の大きな刃と同等に機能することが確認されている。
まとめ
Lagom P64 Flat Burr Grindeの製品キャッチフレーズに記されているとおり『大きすぎず、小さすぎずもなく、丁度いい』洗練されたそのマシンが秘める性能はCoffeeLoverを惹き付ける魅力たっぷりの正当進化による次世代マシンだと感じた。
こだわりの1杯を挽くための合理化されたワークフローには、コーヒーが好きな開発者の意思がぎっしりと詰まっている。現在プレオーダー中で価格は1,587USドル(初回デポジット600USドル+出荷時残金)。日本の電圧対応の100V-120Vモデルもあり。
コーヒーグラインダーの新しい潮流を感じるOption-OのLagom P64について引き続き注目していきたい。
Lagom P64 Flat Burr Grinder
[pre-order for mid February 2020 delivery]
Option-O公式HP