コーヒーグラインダーの最高峰。Comandante (コマンダンテ)の使い方とレビュー

Comandante C40について

噂のCoffeeGrinderがようやく手に入った。このComandante C40は世界で最も高く評価されるコーヒーグラインダーである。驚くべき事に、それは家庭用のコーヒーミルとの比較では無い。業務用の最上位機種との比較においてである。

本来、価格もゼロが一つ違う家庭用と業務用のグラインダー(ミル)では比較すらされないほどに性能に明らかな差が存在した。高校野球とメジャーリーグの実力差のようなものだ。

しかしコマンダンテはバリスタ世界大会の公式グラインダーである業務用No.1のEK43(価格50万円)との性能比較が話題にあがる。ある集約調査では均一性や微粉量の判定において4人に1人はコマンダンテのコーヒーミルに軍配を上げているほどだ。一体どんなミルなのか、実際に使用して調べてみた。

Comandante(コマンダンテ)コーヒーミル
コマンダンテ公式HP
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Comandanteコーヒーミルの特徴

本体サイズ㎜     :φ61mm H152mm
ハンドル含む     :H約182mm
本体重量       :629g
容量          :40g
素材          :ステンレス、木、ガラス他
生産国         :ドイツ

Nitro Blade(ニトロブレード)

精製するのが非常に困難な刃。これがComandanteの全てが詰まった究極の刃

特殊な機械と数多くの職人により加工されており摩耗性が極めて高く、エッジの保持率も高い。窒素の添加により鋼を著しく強化し、非腐食性も大幅に向上。円錐形のバリは他のコーヒーグラインダー(ミル)では扱われていない形状と角度である。

この構造はグラインド中の摩擦を最小限に抑え、微粉の発生を抑える設計として特許を取得。また刃に用いられている鋼は不活性度が高く、アラビカ種の豆が持つ複雑な酸性に対しても味覚の影響を受けさせない
 Comandanteが最強と言われる所以。こういう見た目だけでは分からないところまで拘った作り方、最高すぎる

微粉発生の抑制


ニトロブレードの鋭く研磨された刃とバリにより豆は“CUT”される。『削る』『すり潰す』とは全く異なる。粉砕結果は画像のとおり微粉が極めて少なく、正確かつ均一。
 これ美しすぎるでしょ

力を必要としないグラインドハンドル

子供や高齢者でも難なくグラインドできる。僕はいくつものハンドミルを扱ってきたが、このハンドルの軽さには本当に驚かされた。手回しではZassenhausやPeDe Dienesの優秀なミルも日頃使用しているが軽さと速度が全然違う。

鋭利な刃に加えて、ボールべアリングによりハンドルの回転をアシストしてくれるため、電動自転車のようなイメージが最も近い

挽き時間テストでは15gのコーヒー豆をフィルタードリップ用にグラインドするのに要した時間は25秒エスプレッソ挽きでは40秒であった。電動のカリタネクストGが15gを同じ中細挽きで29秒かかったので単純比較では電動よりも早い結果となった
 大げさでなく電動のコーヒーグラインダーを使用する理由が完全になくなるよ

無段階挽き目調節

100段階は軽く超える挽目ダイアル。

ガラス製粉受けを外すと調節ダイアルがあり画像のとおり分りやすく挽き具合の調節ができる。他のコーヒーミルでみられるグラインド中の振動で調節がズレていくことも無く、再現性がとても高いグラインドが可能となっている。
 気がつくとメッシュが変わっていたなんてことは全く無い。これかなり重要だと思う

ダイアルゼロから 36クリック= karita next G #3= 中細挽き といった具合で記憶してしまえばいつでも簡単に好きな挽目にできる。
 公式ではハンドルが回らなくなるところまで挽目ダイヤルを固定させたところがゼロ値としてカウントするらしいけれど、分かりづらいので僕はダイヤルを完全に締めて、そこをゼロ値としてカウントしてるよ

Comandanteを使用してみた

ガラス粉受けで豆計量

ハンドルを外して豆を投入

中細挽きにグラインド

ペーパーに移して抽出

抽出完成

抽出された味は非常にクリアでありながらフレーバーがしっかり出ている。これは説明書にも記載されているがコマンダンテがアラビカ種の豆の特徴と最適な粒子分布を研究し、ニトロブレードを繰り返し改良してきた成果であろう。

味の再現性とコントロールを妨げる微粉発生を抑え、一流のカフェの味すらも凌駕する抽出をサポートしてくれる。特に香りの違いは顕著だ。グラインドしてすぐの粉の香り(ドライフレグランス)は豆を鋭利に断面を潰さずに広くカットすることで、より豊かな香りを生む。他のグラインダーとは明らかな違いが生じた。
 アラビカ種の豆の特徴と最適な粒子…ってこんなに本気のコーヒーミルを見たことが無いよね

 

掃除もとても簡単

本格的な分解掃除は月に1度ほどで構わない。日常の掃除ではコマンダンテを逆さにして軽く振ってあげる。内部や粉が排出されるダイアル付近には細いコーヒーブラシをかけるとすぐに綺麗になる。

 

レビュー

 優れている点

良い点は上述してきたとおりである。精度はもはや家庭用では敵なし。業務用でも30−50万円の最高級機種と同等のグラインド性能を持つ。自宅にいながら贅沢の極みのような店舗より美味しいCoffeeを飲むことができる。

アラビカ種のコーヒー豆をカットするためだけの最適な鋼の素材選びと精製を行い、特許を得たアラビカ種の豆を最も美味しく抽出するためのバリの角度と硬度をニトロブレードという史上最高のミル刃として生み出した。このComandanteでカットされた均一の豆は美しい芸術のようだ。

グラインド中の香りはより豊かになり、飲む前に美味しいコーヒーができることを確信できる。

 悪い点・改善点

ウィークポイントとしては、やはり一番に価格だろう。手回しのコーヒーミルで3万円以上というのはヴィンテージ期のZassenhausやDienesでも多くはない。普通の感覚であれば3万円出すならナイスカットGやネクストG、みるっこにしようとなるのが普通。

しかし現在では、その性能が広く知られると(日本でも某有名焙煎士がTVで紹介したことでネットから即完売)世界的に注文が殺到し品薄が長く続いている。商品の改善点では無いが、ニトロブレードの製造は単純な工程ではないためひとつ製造するのに多大な時間を要する。そのため供給スピードが非常に遅い。

このコーヒーミルに限ったことでは無いが、本格的なメンテナスや掃除の際に部品が多く慣れるまで大変。ダイアルを外して円錐形の刃を外す中規模メンテナスと、更にドライバーを用いてリング状の刃まで取り外す大規模メンテナスがあるが、パーツの向きと小さなネジやウォッシャーリングが付属するため注意が必要。YouTube等にメンテナス動画も多数UPされているので参考にすると良い。

 

まとめ

photo by Manuel Neumann

僕は行き過ぎた趣味により多くのコーヒーミルを実際に使用してきたが、ここまでクオリティの高いミルに出会ったのは初めて。正直購入するまでは、『電動で満足しているのでも手回しはどんなに精度が良くても使用頻度は少なそうだな』と思っていた。

しかし今ではComandante C40しか使用していない。ドリップコーヒーもエスプレッソもこれ1台で最高の1杯を飲むことが出来る。それも電動グラインダーで粉砕するよりも早く。

コマンダンテの仕上がりは疑いようのない超一級品。ドイツでは100年以上の間、多くの手回しコーヒーミル会社がその技術を激しく競い合ってきた。過去の伝統を受け継ぎ、現代技術を取り入れることで生まれたComandante C40は同じくMade in GermanyのメルセデスやBMWを彷彿させる質実剛健な一生モノのアイテム。

普段使いから旅行、キャンプまで何処にでも連れていける最強の相棒は、あなたのCoffeeLifeを今よりずっと豊かにしてくれる道具になるだろう。