Flair Espresso を検討するときに多くの人が悩む『機種(グレード)』の違い。これ、とんでもなく分かりづらいですよね。あまりに分かりづらいので、両モデルを購入して比較してみたのでこれから購入検討される方はぜひ参考にしてみて欲しい。
Flair Espresso Maker PRO2
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【Flair Signature PRO2】と【Flair Signature】
左:PRO2 右:Signature
そもそも分かりづらくしているひとつが、ネーミングだ。Signature PRO2とSignatureという呼称のためPRO2にも”Signature”が包括されてしまう。
米国公式サイトでは紛らわしいからか既にPRO2にはSignatureという文字を載せていない。
Classicモデルもあるし、PRO1もあるんだからスタンダードとか付けないと分かりづらいでしょ
各部パーツの違い
Brew Head(ブリューヘッド)
左:PRO2 右:Signature
最も大きな違いはBrew Head。
PRO2 : 粉16-24g / 湯量70ml / 抽出56ml
Signature : 粉12-18g / 湯量60ml / 抽出45ml
PRO2はエスプレッソのダブルショットを実現する容量を備える。Signatureはシングルショット用となりサイズも小さい。ブリューヘッド、ポルターフィルター内はどちらも100%ステンレスが使用されているが、ステンレスの厚みがかなり異なる。
左:PRO2 右:Signature
またポルターフィルターのバスケットサイズ(直径)も異なり、PRO2では46mmが使用されているのに対しSignatureでは40mmとなっている。
左:PRO2 右:Signature
スパウト&ボトムレスフィルター
左:PRO2 右:Signature
スパウト(抽出口)はPRO2がステンレススパウトに対してSignatureはプラスチック素材。どちらも着脱が可能でボトムレスフィルターとしての使用も標準装備されている。やはり見た目の美しさはオールステンレスのPRO2に軍配か。
PRO2のボトムレスフィルター
Signatureも下部のスパウトを外すとボトムレスフィルターに
バスケットのフィルターにある無数の穴の形状も異なる。PRO2はハイスペックのエスプレッソマシン同様に穴がクレーター状になっており、粘性のあるエスプレッソがそれぞれ独立した穴から抽出されやすくなっており、圧力の分散効果もより働く。一方でSignatureは画像のとおり針で指した穴のような形状。
Portafilter Holder(ホルダー)
左:PRO2 右:Signature
Drip Tray(トレイ)
ドリップトレイもPRO2ではオールステンレスの2段式を採用。Signatureの透明プラスチック製と比較すると見栄えにはかなり差がある。ただし実際には抽出完了後の滴りを受ける役目としてはSignatureのものでも機能は十分。
PRO2の2層目のトレイにはくぼみもあるため、飛び散りもなく抽出後は気にせず長時間放置しておける。見た目がより美しくデザインのこだわりの要素も強い。
Silicon Handle Grip(グリップ)
PRO2にはシリコン製のハンドルグリップが装備される。9気圧でエスプレッソを搾り出す際にはある程度の力が必要となるため、グリップがあると負荷が少なくより抽出しやすい。
Signatureにはグリップが無いが、よりシンプルなグリップの無いデザインを好む人も多い。抽出が困難になることも無いのでこのあたりは好みだろう。
PRO2にあってSignatureに無いもの
左:Stainless Steel Spout 中央:Dispersion Screen 右:Silicone Cap
スパウトについては説明済みだが、SignatureではBottomless 2-in-1 Portafilterとなっており一体型としての位置づけ。PRO2ではRemoveable Spoutとして、より容易に環境(レシピ)に応じた選択ができる。
少し驚いたのがDispersion Screen(スクリーン)だ。これはタンピングした後の粉の上にのせて、粉へ湯が接触する際の均一性を促すものである。Signatureには付属されていないため湯を注ぐ際には優しくするなどして、一部の箇所の粉を荒らしてしまわぬ様に注意する必要がある。特に「粉の量を多め・タンピングは弱め」での抽出ケースは湯をいれる際にBrew Headを斜めに傾けて注ぐなどすると良いだろう。
そして上記2つのパーツ以上に重宝するのが実はSilicon Cap(キャップ)である。Flair Espressoは構造上、美味しいエスプレッソ抽出のためにはBrew Headの事前の温め(湯煎)が必須である。シリコンキャップはこの作業時に実に便利だ。もはや無くてはならないレベルである。
画期的とかではなく、これは当然に無くてはならないパーツ。Signatureにはこれが付属していないため、湯煎する際には文字とおりの”湯煎”をすることとなる。想像してもらえれば分かるだろうが外側が熱湯で濡れるため扱いづらくなる。コストのかかるパーツではないだろうしSignatureにも標準で付属させておくべきだ。
Signatureの場合は湯呑などに浸して湯煎
抽出クオリティについて
PRO2とSignatureの気になるエスプレッソの差についてだが、Flair公式サイトでも記載のあるとおり『PRO2と同様』と言って問題なさそうだ。一見するとPRO2のオールステンレスを含めたクオリティの高いパーツによるエスプレッソ抽出の方が、より安定した美味しいエスプレッソが抽出できるような感じがするが意外とそうでもない。
以前のPRO2の記事でも解説したが、Flairの圧倒的な抽出クオリティの高さは『湯の垂直移動距離』に大きく関係する。この垂直移動距離においてはSignatureの方が優位となる場合がある。Signatureはバスケットサイズが40mmと小さいため粉は縦方向に嵩ができる。バスケット内の圧力は高まりやすく、家庭様のエスプレッソ挽きが不可のグラインダーでも問題なく濃厚のエスプレッソが抽出できる仕組みだ。PRO2の最低投入グラム数の16gによる抽出で比較した場合、エスプレッソ挽きのできるグラインダーが無いとSignatureのようなクオリティは発揮することは難しい。
その他にもSignatureには利点がある。Brew Headが小さいため、湯煎時の温め効率が良いのだ。美味しいエスプレッソ抽出において湯温は生命線であるが、PRO2の場合は室温や湯煎後の本投入までの時間などでBrew Head内の湯温が下がってしまう。実際に投入前の湯温を計測してみたところSignatureは1回の湯煎でまず問題ないが、PRO2の場合には状況に応じては2回の湯煎が望ましいという結果が得られた。
終わりに
エスプレッソ抽出量の違い。デザインの違い。パーツ素材の違い。PRO2とSignatureの違いをそれぞれ見てきたが、最後にもう一つ。価格の違いがある。執筆時点では2つのプロダクトにおける価格差は約8,000円程度。自身の使用環境において、この差をSignatureとPRO2にどう感じるかが最終的な選択のポイントとなるだろう。
私だったらどちらにするか?迷わずPRO2。オールステンレスってだけで最高。使い倒したいし、プラスチック素材は耐久性を考えるとSignatureは少し不安かな。でも普段はシングルショットで十分なんだよな。PRO2のシングルショット用Brew Headがあれば最適解なのになあ。。
PRO2とSignatureどちらであれFlairはこの価格帯で最強のエスプレッソメーカーであることは疑う余地は無い。極上の一杯はあなたのCoffeeLifeに豊かなバリエーションを提供するだろう。私の記事があなたのエスプレッソマシン選びの参考にしてもらえたなら幸いだ。
Flair Espresso PRO2
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Flair Espresso Signature
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