夏のマストアイテム⁉︎ HyperChiller(ハイパーチラー)を1年半使用して感じた良い点と悪い点

HyperChiller(ハイパーチラー)って何?

一言でいえば、熱々コーヒーを氷で薄めずに僅か1分でアイスコーヒーに変えてしまう魔法の道具のこと

魔法の道具っていうと大げさに聞こえてしまうけれど、風味が最も大切とされるコーヒーにおいて、できる限り濃度変化させずに温度変化(急冷)させる専用道具が今まで無かったのだから驚きだ。

このハイパーチラーは2016年にフロリダのスタートアップ企業が開発したものだが、欧米では長いことアイスコーヒーに対して抵抗があったようで、近年のような普及に至るまで相当な時間を要した。

日米におけるアイスコーヒー文化の違い

日本との気候や民族性の違いもあるので詳しいことは分からないが、欧米では1900年代後半までコーヒーは熱いから美味しいといった考え方が根本にあって、アイスコーヒー(iced coffee)は邪道。体を冷やすので良くない。といった認識もあったようだ。
 個人的にはクオリティが低いから普及しなかったんじゃないかと。美味しければ人は求めるので

それに対して、日本は古くから暑い夏には体内の温度を下げるための様々な食習慣もあり、明治時代の頃には野菜やスイカなどを冷やす井戸水へ瓶詰めしたコーヒーを漬けてアイスコーヒーを作っていたそう。これが庶民に普及したアイスコーヒーの歴史としては最も古いとされる(諸説あり)

これだけアイスコーヒー器具を開発するための大ヒントが歴史的にあった日本で、このハイパーチラーが作られずアメリカ発で生まれてしまうのは非常に残念だが、井戸水冷却方式と同じ仕組みを使ったこの道具はどこか親近感を感じずにはいられない。

実際に1年半使用して感じた良い点・悪い点をレビューしていきたい。

どこが画期的なのか

忙しい朝でも僅か1分でホットコーヒーをアイスコーヒーにしてしまう

間接的に冷却するためコーヒーが氷で薄まらない

使用後、軽くすすぐだけで再利用できる


魅力的なところは他にもあるが、敢えて3つをあげるとすると上記のとおり。よくみると何とも原始的な作りだが考えた人は天才だと思う。構造が簡単なことは、使いやすさとメンテナンスの容易さに直結する。

アイスコーヒーはコンビニコーヒーやチェーン店に代表されるように、真っ黒に焙煎した濃い抽出のコーヒーを大量の氷で一気に急冷&希薄化させるものが主流。しかしこれは豆本来の特徴も弱めてしまう。
 たしかにコンビニやチェーン店のアイスコーヒーって苦さの違いはあっても、産地による味の違いって感じたことないよね

こだわりのドリップコーヒーなどで抽出した味を壊すこと無く1分でアイスコーヒーにできる。これ以上の魅力は無いだろう。

内部構造に分かるように内側と外側の氷の層で挟み撃ちする仕組み。冷却能力は30個分の氷と同等というから驚き。実際に使用してみても一人分や二人分程度では2層の氷は全く溶け切らないのが分かる。

1年半使って感じたデメリットは

冷蔵庫の場所を取りすぎる

氷の膨張で蓋が閉まりづらくなることがある


反面、使いづらさを感じたのはハイパーチラーのサイズである。高さ17.2cm、横幅10.6cmは冷凍庫に常時入れるには大きすぎる。しかも横置きすると中の水が溢れるため縦置きにする必要があるので尚更だ。

もう一点が外側容器がポリプロピレンという素材のため変形や脆さがあること。amazonレビューにおける低評価者の声に多いのが『限りある冷凍庫の容量圧迫』の次に『蓋が閉まらない、水漏れ、亀裂、破損』などの容器に関する不満が多い。

とても気に入っていたが、結局僕の生活環境では上記がネックとなりお蔵入りしてしまった。現状では同様の仕組みで急冷できるシェイカーを使った方法でアイスコーヒーを作っている。

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使い方

ハイパーチラーをセットして製氷

お好みのコーヒーを抽出

氷で薄めないので、深煎り豆限定で濃い抽出をする従来のアイスコーヒー抽出方法をする必要がない。浅煎り〜深煎りまで、その日の好みの抽出濃度で甘みと果実感のあるスペシャルティアイスコーヒーも愉しめる。

上から投入

1分〜1分半放置。因みに投入後に軽く円を描くように回してあげると、冷却時間が更に縮まる。一度に投入できる量は370mlで、連続使用で2回は対応可能。
 僕は連続使用は滅多に行わないけれど、2回目は冷却時間は3分くらい必要になるよ

冷却完了したらコップへ注ぐ

上蓋に投入時の入り口と、冷却後の出口が別にあるので使いやすい。

できあがり

冷蔵庫レベルで冷却はされているが、僕はキンキンのアイスコーヒーが好きなので氷を1〜2個加えて飲む。当然氷はほぼ溶けないので薄まって味が大きく変わってしまう心配は無い。

まとめ

賛否ともに多い商品であるが、個人的には冷凍庫を圧迫するサイズ問題をクリアできるかが購入前に確認すべき最も大事な点かと思う。中には1分でアイスコーヒーが作れても12時間かけて凍らせるのは論外といった意見もあるが、12時間は作業時間では無く仕込み時間である。

スポットライトを当てたいのはスペシャルティコーヒーのような、豆の個性を活かした本格コーヒーの最も美味しい焙煎度合で抽出したコーヒーを、味の劣化を抑えながら急速冷却できる点なのである。

何度も書くが、どんなに品質の良い産地の豆でも真っ黒になるまで焙煎したら、すべて同じ味の抽出にしかならない。炭に近づけば近づくほど豆の個性は消えてしまうからだ。そんなことを理解した上でこの商品を利用すると、その良さが感じられるのでは無いだろうか。
 我が家ではこのサイズを冷凍庫に常駐させることは許されなかったけれど。。。

今年3月にオープンしたコーヒーとバリスタの新しいカタチ(価値の創造)に挑戦する「dotcom space Tokyo」。最先端の器具とテクノロジー、そして日本ハンドドリップチャンプも在籍するこの店で、このHyperChiller(ハイパーチラー)が使われている。これ以上の説得力は無いし、もう説明は不要だろう。

これから暑くなる夏に、コーヒーだけでなく、緑茶も紅茶もワインも急冷できるハイパーチラー。あなたのSummerLifeをより豊かにしてくれるマストアイテムになってくれるのでは無いだろうか。