Flair(フレア)の登場は間違いなく家庭用エスプレッソマシンの勢力図を根っこから変える。彼らはこのエスプレッソメーカー市場の時計の針を一体何年分進めてしまっただろうか。
先日のMakuakeで驚異の7922%の達成率で約2,000万円を集めた大注目の器具。家庭用エスプレッソマシンを何台も経験している僕の目線で、実機を使用して感じたFlair Espressoのレビューと抽出時の重要なコツを紹介しよう。
Makuake : 全米バリスタ王者が公認!極上のポータブルエスプレッソメーカー!
Flair Espressoの誕生
エスプレッソが大好きな一人の発明家は「自宅で最高のエスプレッソを作るために最低限必要なものは何か?」という問いを自問した。それは無駄な部品を省いた純粋で美しいエスプレッソ。
Flairの開発には創業者セルジオ・ランダウによる生物医学産業のエンジニアとしての30年間の経験が活かされた。彼は数十個の試作品を作り、ハイエンドのエスプレッソマシンに見られる複雑さを取り除くことに成功した。
「味は私たちを定義するもの」
「デザインは私たちを区別するもの」
こうしてシンプルで手頃な価格でありながらも、プロフェッショナルな品質に徹底的にこだわり抜いたエスプレッソメーカーが誕生した。
Flair Espresso Maker PRO2
Flair Espresso 公式HP
Amazonで探す 楽天市場で探す Yahoo!で探す
美しいデザインと堅牢性
真っ先に惹かれるのがデザインの素晴らしさだろう。無駄が削ぎ落とされ、洗練された出で立ちは、その後の成功を約束するかのようだ。
このレバーポジション、好み過ぎる
抽出部には磨き上げられたステンレススチールが使用されており、ハイエンドマシンと同等クラスの耐久性を誇る。
(抽出部のBrew Headの重さはなんと578g)
Flair が家庭用最強と言われる理由
なぜFlairが世界的にそこまでの高い評価を受けているのか。それは端的に抽出したエスプレッソが美味しいからである。デロンギを筆頭に大衆向けのエスプレッソマシンは、圧力管理の面でエスプレッソに似せた『濃いコーヒー』を作る器具でしか無い。
私が現在使用している10万円を超えるようなセミコマーシャルマシン(家庭用と業務用の中間)のascaso Dream PIDですら極上のエスプレッソは抽出は難しい。
しかしこのFlairは見事にそれを成し得た。エスプレッソの芳醇な香りと、とろみのある質感。そして美しいクレマ。これまで自宅では決して再現できなかった業務用のしかもハイスペックマシンでのみ提供されるエスプレッソが作れてしまった。
完熟した新鮮なフルーツをギュッと搾り出したような、口に含むと甘みを纏った極上の一杯。断言できる、Flairは現時点で最高の家庭用エスプレッソメーカーである。
エスプレッソに対する見方が180度変わるよ
革命的なエスプレッソメーカーを支える構造
Flairは徹底的に無駄を省きつつも、使用する部品の材質と精度にはこだわった。そしてそこには全て共通の解があった。それは『圧力』の制御である。レバー式でゆっくりとエスプレッソに最適な6~9気圧をかけ続けることを可能とし、家庭用と業務用の差を無くした。
46mmバスケット(ポルターフィルター)
左:Flair PRO2(46mm) 右:ascaso Dream PID(58mm)
左:Flair PRO2(46mm) 右:ascaso Dream PID(58mm)
オールステンレスのポルターフィルター。一般的な58mmサイズと比較すると径が小さいのが分かる。しかし投入するコーヒー量は同等のため、ダブルショット用のバスケットで両者比較するとFlairの方が背の高さが出る。
この縦方向の高さが圧力制御と密接な関係性を持つ。
Flairでは抽出するエスプレッソの量に応じて必要なコーヒー豆の量(g)を調整するが、PRO2で20g以上のコーヒー豆を使用してダブルショットを抽出する際は、エスプレッソ挽きにする必要がなくなる。逆に16g~18g程度で抽出する場合はエスプレッソ挽きが望ましい。
エスプレッソ挽き専用のグラインダーが無くても出来るのは嬉しいよね
要するにエスプレッソを抽出する際の湯の垂直移動距離に関係している。
コーヒー豆の量を多くするほどに、自然と高圧状態が生まれるため、メッシュの粗さや、タンピングの強さを緩めても簡単にクレマたっぷりの濃厚エスプレッソが抽出できてしまう。
この考え方はFlairで極上の一杯を抽出するための極意だよ
使い方・手順
16〜24gのコーヒー豆を計量
標準の20gの場合はモカエキスプレス挽きとエスプレッソ挽きの中間くらいのメッシュが良い。それ以上少ない量の豆で抽出する場合はエスプレッソ挽きにする。
僕は『18g=エスプレッソ挽き』 でやっているよ
エスプレッソ挽きではVARIO-Vの#3~5の目盛りを使用
Brew Headを湯煎
沸騰したお湯でBrew Headを温めておく(60秒程度)
付属のシリコンキャップがとても便利。
タンピング
●18gのときは少し強めにタンピング
スクリーンをセット…表裏の向きに気をつけて
温まったBrew Headを装着
湯煎は2度行えるとベスト(1度目は熱損失が大きいため)
本体へセットして湯を投入
スケールの上で湯量を量りながら投入するのもGOOD
圧力計をセット
この圧力ゲージが本当に使いやすい。手動レバー式マシンのデメリットである誤差やアバウトさを極力少なくしてくれる。また抽出に失敗したときもゲージから考察することができる。
単純に楽しいよこれ。自分のベストな抽出メソッドを見つけるのがこの器具の醍醐味だよね
極上の一杯を いざ抽出!!
レバーから手に伝わる感触が美味しさをより助長させる。お気に入りのコーヒー豆から旨味を濃縮させて搾り出す。
濃厚でとろっとしたエスプレッソ。そして美しくたっぷりと形成されたクレマ。砂糖も入れずにそのまま素材を愉しめるエスプレッソは一流店が提供するものと何も変わらない。
今回使用したFlair PRO2ではダブルショットで50-60mlの抽出が可能。シングルショット(25-30ml)が好みの場合はFlair Signatureが最適。価格やパーツの違いがあるがどちらのモデルも抽出されるエスプレッソの味には違いは無い。
関連記事 : flair espresso PRO2 と Signature の違いは?実機ならべて比較してみた
- Flair Signature click
Flair Espresso のレビュー
GOODポイント
- 質の高いエスプレッソ抽出
- 美しいデザイン
- 電力不要
- コストパフォーマンスの良さ
- アウトドアでも活躍できる携帯性
- 掃除が簡単
- 細部まで作りこまれたパーツ
Flairの素晴らしい点はこれだけのエスプレッソメーカーを3万円〜4万円台で手に入れることができるところだ。家庭用のハイスペックマシンでこのクオリティを求めれば20万円以上は軽く必要だろうし、電力も1600W以上必要となり一般的な家庭では電気工事が必要となってしまう。
特に感動したのは、「こんな工夫を凝らしてきたか」という驚きを随所に散りばめた部品類だ。圧力ゲージは抽出を安定させ、レバー式の弱点を克服させる。抽出部はボトムレスフィルターとなっており、スパウトを付けなければエスプレッソが搾り出される様子を目視することもできる。
更にシリコンキャップは湯煎時だけでなくタンピング時のマットにも非常に便利。豆を計量するのに使えるドーシングキャップはタンパーにも併用でき、バスケットに粉をつめる際、飛散を防止できるファンネル(漏斗)も付属する。
折りたたむとこんなにコンパクトになる
そしてこれらの器具をコンパクトにまとめるキャリングケースまでついてくるので、極上の一杯をアウトドアで楽しむなんてことも出来てしまう。本体、部品ともに堅牢性が高いため場所を問わず使い倒せるだろう。
アウトドアでFlairクオリティののエスプレッソは贅沢すぎるね
BADポイント
- 手動式エスプレッソならではの慣れが必要
- 2杯目以降のインターバル
- ミルクスチーム機能はない
逆にデメリットとしては、電動式のような安定性を出すためには慣れが必要という点が挙げられる。特に粉の量を変える場合などは、豆の細かさ(メッシュ)やタンピングの強さなど、調節が必要となる。
また、商品タイプによって1ショット用と2ショット用が選択できるが、2ショットモデル(PRO)の場合、通常の電動エスプレッソマシンにある2スパウトにて抽出時に1ショット×2杯に分ける器具は用意されていない。これは少し残念なところだった。
Flairさん!2スパウトの抽出キット検討してね
その他、当然ではあるがスチームミルクを精製するためのスチーマー機能は無い。純粋にエスプレッソを愉しむための器具であり、ホームバリスタが好むラテアート等を作ることは出来ない。
(参考:ascaso Dream PID)
まとめ
ようやく、日本でもエスプレッソを飲む習慣が根付くのではないか。そんな期待すら感じさせる素晴らしい完成度のエスプレッソメーカーが現れた。あなたのお気に入りのコーヒーショップの新鮮な豆を使用してぜひ極上の一杯を体験してみて欲しい。
大手コーヒーチェーン店のただ苦いだけのエスプレッソとは全く違う、コーヒー豆の個性を愉しめる本当のエスプレッソが自宅で味わえる。これまでの家庭用エスプレッソマシンを知っている人なら皆思うはずだ。「なんて贅沢な器具なんだ」と。
Flair(フレア)で初めて飲んだ一杯目が衝撃的だった。今まで見たことのない厚みと美しいタイガースキン。砂糖すら入れる必要がない甘く芳醇な味わいが口の中に広がり、香りが鼻から抜けた。何よりも自らの手でグリップを握り、レバーを下げて、圧力を調整して最高の一杯を搾り出す。失敗もあるが、これが楽しくて堪らない。
創業者セルジオ・ランダウの言った『味は私たちを定義するもの』という言葉。この言葉の意味をFlairのレバーを引いて実感して欲しい。極上のエスプレッソはあなたのCoffeeLifeを間違いなく豊かで華やかなものにすることだろう。
Flair Espresso Maker PRO2
Flair Espresso 公式HP
Amazonで探す 楽天市場で探す Yahoo!で探す
Flair Espresso を検討するときに多くの人が悩む『機種(グレード)』の違い。これ、とんでもなく分かりづらいですよね。あまりに分かりづらいので、両モデルを購入して比較してみたのでこれから購入検討される方はぜひ参考にしてみて欲しい。[…]