PID機能搭載で最高傑作に。家庭用エスプレッソマシン Ascaso Dream PID(アスカソ ドリーム ピッド)使用レビュー

前作全ての改善点を克服したパーフェクトマシン

前作Ascaso Dreamはここで紹介しているが、家庭用エスプレッソマシンとしては非常に完成度の高い魅力的な仕上がりとなっていた。今回その後継機としてPID(温度自動制御機能)付きのモデルAscaso Dream PIDがリリース。

その完成度は家庭用ではもはや敵なしのパーフェクトマシンとなっていた。旧モデルとの比較を交えながらその最高峰の実力を紹介しよう。

ascaso社の歴史スペインのバルセロナで1962年に創業したエスプレッソマシンメーカー。創業当初よりエスプレッソマシンのパーツ製造と販売を行っており、現在では世界80カ国以上で販売するグローバル企業。長年培った技術を活かし19[…]

待望のPID機能搭載

なんといってもPID機能が最大の変更点。家庭用でこの価格帯のマシンにPID機能が搭載されるとは贅沢の限りだ。海外でもascasoのPID導入は話題になっているし、購入者のレビューでは一番の高評価ポイントになっている。

 

PID(温度自動制御装置)とは
エスプレッソ抽出時の湯の温度を安定させる装置。通常PIDなしでは、電源を入れてから適温まで温度を急上昇させるが、ピタリと適温で止める事は出来ない(温め過ぎてしまう)。その後、ヒーターを切り温度を下降させるが今後は冷まし過ぎてしまい、再び加熱ONという作業が繰り返し行われている。

 

エスプレッソ抽出において安定した抽出のために豆の粒度やタンピングの加減をいくら意識しても温度が5℃変わってしまえば全く異なる味になってしまう。特に厄介なのはこれがマシンの外側からは、どのタイミングがベストかを知る術が無い事。PID装置が付いたことで、この温度のブレが非常に小さくなり安定した湯温による抽出が可能となった。

このPID機能により抽出する湯温を1℃単位で設定できるようになった。設定も非常に簡単なため、業務用さながらに深煎り豆は90℃抽出、浅煎り豆は96℃抽出により酸味とキャラクターを存分に活かすといったトップバリスタと同様に好みのエスプレッソが自宅で作れるようになっている。

大幅に威力UPした360° スチームノズル

いままでのスチームノズルは何だったのかと思うくらい「ルックス」「機能性」「衛生面」「スチーム力」が大幅に向上。ステンレス製で拭き取り易い形状のノズルは日々の使用機器にとって大事な進化。

 ノズルデザインが最高!!

業務用同等のノズルデザインは威力も抜群。笑えてしまうくらいミルクが踊る。個人的にはAscaso Dream PIDを使用して一番うれしかった改善点・進化である。エスプレッソマシンにとってのスチーム力はラテアートの質を高める重要な要素なのだ。

湯の飛び散り防止

湯の飛び散り問題は“旧モデルascasoの弱点としてUserから最も多くあがった残念な点”であったが、Ascaso Dream PIDでは見事に改善されている。

使用後にタオルで必要以上に飛び散った水滴を掃除しなくて良くなった

シャワーヘッド横にバルブを付けており、作業中に発生した湯を散乱させずに下部トレイへゆっくり落としておいてくれる。前モデルではラテを作ったあとは必ずマシン周辺の拭き掃除がセットであった。これが全く不要となったことで使い心地を大幅に上昇させた。

抽出量の自動化&抽出量計測

これもPIDによる電子機能向上による恩恵であるが、抽出に際して1Coffee or 2Coffeeを選択して抽出&自動停止ができるようになった。

作業中に手を離して別のことができる

目視によるマニュアル操作による停止では無くなったため、作業中にミルクの計量や抽出後の準備などができる。そしてより安定した抽出が可能に。また抽出時間がディスプレイに表示されるため理想的な秒数での抽出ができているかをチェックすることもできる。

蒸らし機能

ペーパードリップではお馴染みのコーヒー粉の蒸らしを電子制御により実現。

予めPIDにて蒸らし時間を設定(0〜5秒)可能で、蒸らし→抽出と2段階の湯を圧力調整して投入してくれる。コーヒーパウダーからより多くの油分とエキスを抽出することができるのだ

この機能により苦いだけのエスプレッソではなく、豆の個性をギュッと凝縮した1杯をトロリと抽出してくれる。ここまでいくと業務用との差は無いどころか、小回りが利いて都度自分好みにアレンジができるため、そこらのマシンではAscaso Dream PIDに太刀打ちできないだろう。
 家庭用エスプレッソマシンで蒸らしの機能が使える日がくるとは感動ものでしょ

その他の進化

シャワーヘッドのネジ止めなし

 ↓前モデルでは大事な中心部にネジ止めが‥↓

ポルターフィルター ø60mmサイズに

旧モデルø58mm→今回ø60mmへサイズアップ。

真鍮製で重さは更にずっしり(1.47倍…新モデル512g、旧モデル348g)、標準的なプロ使用のポルターサイズとなったため、既成品のタンパー(サイズ58mm)と組み合わせ易く、選択肢も豊富に。

写真のように新旧比較すると一回り以上の大きさの差がある。家庭用のお遊びマシンではなく、もはや店舗の本格的なマシンとの違いは無い。

ウォーターサーバーにライト点灯

 使用中の水量を外側から把握しやすくなった。デザイン面でもクールに(ライトはOn/Off可能)

カップウォーマーがより進化

 マシン最上部にヒーターを内蔵しカップを温める機能も標準装備。

ラテアートに挑戦

使用して一番感じたのは前作と比較して抽出されるエスプレッソの質が段違いに向上しているということ。

PIDによる効果だと思われるが、とろみとクレマがしっかりとある、濃厚なヘーゼルナッツ色の抽出が簡単に出来た。加えてミルクのスチームは完全に業務用レベルそのもの

ラテアートを非常に描きやすい状況に、これでもかとサポートしてくれるマシンに仕上がっている。ずっとこの価格帯と電圧帯域で出てきてくれないかなとおもっていた。

 ホームバリスタとしてエスプレッソを学びたい人にも本当にオススメ

ascaso dream エスプレッソマシン 

Ascaso Dream PIDのテクニカルデータ・比較

ascaso公式HP

PIDディスプレイ 操作方法

Ascaso Dream PID レビュー

GOODポイント

正直、良いところが多過ぎて絞れないのが本音。この美しく磨き込まれた削りだしのアルミボディに、コンパクトで無駄のないデザイン。

このルックスからは想像もできないようなスチームパワーと抽出精度。PIDを軸に機能充実だが操作方法は至ってシンプル。

欧米ではエスプレッソマシン業界のiPhoneとまで言われているそうだ。『Ascaso Dream PIDはコーヒー豆のポテンシャルを最大限に引き出すことが可能な家庭用エスプレッソマシン』と結論付けても誤りでないだろう。

まさに最高傑作。

BADポイント

前作のレビュー時にあげた改善点の全てにおいて完璧な改善を果たした。

連続してラテを提供するには…とか、エスプレッソ抽出後のスチーム使用可能になるまでの時間差など店舗営業用のマシンへ求める要望は、家庭用セミコマーシャルマシンに対してするべきでは無いだろう。

そうなると悪いところを探すことができなかった。それほどまでに完成度が高すぎると感じた。今後使用している中で不満点が見つかれば加筆したい。

まとめ

photo by Joan

様々なエスプレッソマシン製造会社が日々知恵をしぼり新商品を生み出している中で、Ascaso Dream PIDは頭2つ分は抜けている感じを受けた。

このマシンはエスプレッソの本当の美味しさを教えてくれるし、ラテアートの楽しさを実感させてくれる。そして美しいデザインが所有欲を掻き立て、満足感を高揚させるのだ。

堅牢な作り込みで故障も少なく、大切に使用すれば永く私たちのCoffeeLifeのバラエティを支えてくれるアイテムになること間違いないだろう。

ascaso社の作り出すスペインの終わらない芸術の歴史を今後も注目していきたい。

ascaso dream エスプレッソマシン 白 click 

MachinePicture