PeDe Dienes(ペーター・ディーネス)の歴史

Zassenhausが刃の製造を委託した唯一の会社とは

PeDe Dienesは1869年にPeter Dienes(ペーター・ディエン)氏によって創業したドイツのコーヒーミル企業。ロゴマークの特徴は”PeDe”という文字と十字架を頭に乗せたシカである。これはドイツのリキュール銘柄であるイエーガーマイスターのマークにも同様の絵柄が見られるように7-8世紀あたりドイツにおける守護精霊神話を元にしている。

PeDe DienesはRemscheid(レムシャイト:刃物で有名なゾーリンゲンや、鉄鋼の街ヴッパータール近郊の街)で、ミルを製造していた大変由緒あるメーカー。Dienes氏自身は1899年に死亡しているが、その後息子のFriedrich と Peter Gottliebが引き継ぎ1962年にZassenhausに吸収されるまで数々の名品を世に残した。PeDe Dienesはイングランドを含むヨーロッパ全土だけでなく、カナダやアメリカにもミルを販売していた。製造については1919年からオランダでもミルを製造。この頃のオランダ工場でのミルには、少なからずオランダ風土がデザイン性などに反映されている。

当時、手回しコーヒーミルの全盛期であり職人たちが日々、その技術を競い合い様々なミルが誕生した。10社近くあったコーヒーミル会社の中でもZassenhaus(ザッセンハウス)とPeDe Dienesの競争は特に激しく、互いを意識したと思われる製品(デザインや機能) がいくつも存在する。日本ではコーヒーミルといえばZassenhausが有名だが、欧州ではDienesの方が希少価値が高く、売買価格も高いこともしばし。当時の刃の製造技術ではDienesの方が上だとも言われている。その証拠に、1962年にZassenhausに吸収されている。また一時期、Zassenhausへミルの刃を提供していた。最期はZassenhaus1社のみが残ることとなるが、まさにマーケティングのザッセンと、技術のディーネスと言ったところだろう。