これが48mmサイズのミル刃の挽き心地。Apolloグラインダーを半年間使用したレビュー
『Turning your coffee spirit.』BPLUS社が手掛けるエスプレッソLover大注目のグラインダーについて半年間利用して感じた製品レビュー
ギリシャのパルテノン神殿の柱を彷彿させる美しく力強いデザイン。作品のような佇まいの内部にはハンドグラインダーでは最大級の48mmのコニカル刃を装備。
『Turning your coffee spirit.(コーヒースピリットを廻せ)』
BPLUS社が手掛けるエスプレッソLover大注目のグラインダーについて僕が実際に半年間利用して感じた製品レビューをお伝えしていこう。
台湾のコーヒー器具メーカー。かの有名な、レバー式エスプレッソマシン:La Pavoni の販売代理店でもある。
割と勘違いされやすいところであるが、このアポログラインダーについては、製造元はPavoniではなくBPLUSが行っている。BPLUSはパボーニ社のロゴ使用の権利を得ておりPavoniマシンユーザー向けの製品を製造している。
『”B”eansにPlus』したい。『”B”aristへPuls』をという理念の通り、近年はアポログラインダーがpavoniの広告塔にもなっており相乗効果を生むスパイスをPlusしている。
グラインドする前に真っ先に感じたのが、非常に作り込みがなされた製品だということ。試しにハンドルを指で軽く弾くと、滑らかな回転で十数秒間クルクルと回り続ける。
粉受け部(ベース)は精密にねじ切りされており、継ぎ目がほとんど見えなくなる。
一方で、デザインとしては特徴がやや強い印象も。これは好みがかなり分かれそうだ。使用していない時間も愉しめる芸術性の高いグラインダーだが、インテリアやキッチンのテイストに全く合わずNGの人も一定数いるだろう。
僕自身も、デザインはあまり好みではない。ギリシャ建築に見られるこの重厚感のある様式は、僕が集めているコーヒー器具の中では少々存在が浮いてしまう気がするのだ。
photo by https://www.bplus.biz
豊富なカラーバリエーションは嬉しい。本当はグレープシャンパンゴールドが欲しかった
コーヒーグラインダーの心臓部とも言えよう、ミル刃は世界的に有名なBURR(ミル刃)、ITALLMILLを使用。ナノコーティングされた刃は10万回分のショットを保証されるほどの耐久性にお墨付きがある。
ITALMILL GRINDING TECHNOLOGY社が製造するミル刃。1977年設立の同社はコーヒーグラインダー刃の市場では世界的シェアを誇り、40年以上の実績と絶え間ない革新技術によって業務用グラインダーから家庭用グラインダーに至るまで高品質のグ本格グラインダーの多くに採用されている。ITAL使っているのなら間違いないなと。そう判断してよいミル刃。イタリアの企業。
挽き目の調節は、グラインダー内部ではなく外側についているダイアルで調節。感度もよく、とても使いやすい。エスプレッソのパーフェクトな抽出のためには焙煎度や日数経過、マシン(バスケットサイズ)の違いなどによる僅かなメッシュ調整が必要になる。
ダイアルへのアクセスのしやすさは、かなり好感できるポイントだ。
また低価格のグラインダーに生じがちな、グラインド中にダイアルがジャンプして挽目が変更されてしまうという現象も全く起こらなかった。
La Pavoniの所有者であれば、エスプレッソマシンとミルとの統一感に満足せずにはいられないだろう。
レバー式マシンの外観との相性もよく、イタリアらしい大人のデザインとApolloグラインダーが非常に相性が良いことが分かる。一方でLa Pavoniユーザーではない大半の人には、このロゴに価値を感じないだろう。
photo by https://www.lapavoni.com
アポログラインダーでグラインドしたお気に入りの豆をパボーニでレバー抽出する。憧れのこの組み合わせはやはり絶妙だろう。
調節ダイアルには0〜10まで番号が刻印されており、最大でダイアルおおよそ1周半(16Notches近辺)まで豆の粗さを変更できる。番号間では5段階の調節が可能で、合計で80段階の調節が可能。1クリックあたり30ミクロンの調節幅となっている。
BPLUSのユーザーガイドによるとダイアル7〜9がエスプレッソ、12~14でハンドドリップコーヒーと推奨されている。
エスプレッソの抽出に照準を合わせたグラインダーではあるが、フレンチプレス等の抽出用のメッシュあたりまでグラインド可能。
エスプレッソ挽きの粉質と、メッシュの均一性は極めて高く、私の所有するエスプレッソ挽き対応可の5万円未満のどの電動グラインダーよりも、誰がみてもわかるくらいの違いが感じられた。
しかしながら中細挽き以上の粗さでは、肉眼で確認できるレベルで粒度のバラツキと微粉もみられた。
エスプレッソとドリップ抽出のグラインダーではグラインダーに求める刃の形状が異なる。昨今、全部対応型のオールインワンの最強グラインダーなるものをよく耳にするが、実際にはそんなものは存在しない。
エスプレッソに特化するのは贅沢だが、お店で注文するエスプレッソ体験以上のものが自宅で愉しめるよ
気になっている人も多いであろうFlairエスプレッソとの親和性だが、結論から言うと、非常に良い。
バスケットサイズの小さいFlairでは、Apolloの性能をだいぶ余らせてしまうほどだ。中煎りでグラインドダイアル#5あたりが丁度よい。鮮度の良い豆だとトロトロのエスプレッソと分厚いクレマの層を形成したベストショットが引き出せるはずだ。
machine : Flair Espresso PRO2
beans : 18g
roast : City roast
mesh : Apollo #5
粉を移す際の双方パーツの相性も悪くない。
特に一般のグラインダーでは難しい、Flairを使った浅煎り豆のエスプレッソ抽出にも完全に対応できる。
最も細かい設定でグラインドしても圧力がかからずに湯が抜けてしまう、豆の鮮度が落ちると途端に上手く抽出できなくなるなどの現象。
これらも性能の高いApolloの粒度ダイアル#4あたりでグラインドすると酸と甘味を絞り出したエスプレッソを愉しむことができるだろう。
油分の少ない浅煎り豆で美味しいエスプレッソが抽出できるのは高性能の証だね
ティラミスのような粉末がカップのネジ込み部分へ付着するため、どうしても汚れが落ちづらい。上の写真はブラシと楊枝を使用してメンテナンス後。
近年、エスプレッソ用グラインダーのキャッチカップにマグネット式が採用されているのは、こういったデメリットを解消するためでもある。
アポログラインダーは1クリックで30micronのミル刃を調節する。この調節幅は最高峰のエスプレッソ用グラインダーとしては性能は高くない。
Flairのようなバスケット径が小さいエスプレッソマシンでは問題は生じづらいが、上の写真のような標準の58mmのバスケットを使用するマシンではより細かなグラインドサイズが必要となることから、1ステップあたりの調節幅が30micronでは多少物足りない。
ザクザクと気持ちの良い音と心地よい反動を手に伝えるグラインドはとても快感。Apolloの構造上、グラインド速度は同価格帯の本格エスプレッソグラインダーの中でも突出している。
詳細は別の機会に比較記事を書く予定であるが、私の所有するKINUや1Zpresso JE plusと比較して、挽き終えるまでの総回転数が全く違う。
上記ゆえに、浅煎り豆で極細挽きをグラインドするときは筋トレではないかと思うほどハンドルが重い。握力57kg の私がしんどいので、女性には相当厳しいのではないだろうか。
これだけの品質で$300USDは、及第点の得られるプロダクトだ。決め手になるのは好き嫌いの分かれるデザインか。想像以上に腕力が必要なのは注意すべきところ。
18gであれば30秒ほどでグラインドする、その挽き心地は快感であり、豆へのストレスも小さく抽出クオリティも約束される。
Apollo ハンドグラインダーは La Pavoni所有者はもちろんのこと、家庭で上質なエスプレッソを堪能したいCoffeeLoverにとって良い相棒となるはずだ。
きっとあなたはエスプレッソの魅力を再発見し、その味に虜となることだろう。
『Turning your coffee spirit.』BPLUS社が手掛けるエスプレッソLover大注目のグラインダーについて半年間利用して感じた製品レビュー
一部のZASSENHAUSコレクターやマニアから言われ続けてきた話。 ザッセンハウスが最も作り込み精度の高かったとされる