9割の人が知らない水出しコーヒー(Cold Brew)の美味しい作り方を教えます

僕がスペシャルティコーヒーを好きになるきっかけとなったのは意外にも美味しい水出しコーヒーを飲んだことだった。それまで砂糖とミルクたっぷりの缶コーヒーとコンビニコーヒーしか飲まなかった僕の味覚を根っこからひっくり返されたのを覚えている。

そしてその水出しコーヒーは記憶の中の特別な味なんかではなく、一流店だけの味でもない。誰でも簡単に自宅で全く同じ味が再現できてしまうのだ。これがコールドブリューの最大の魅力なんだと思う。

今回は、水出しコーヒーが初めての人でも、コーヒーマニアの人でも誰でも簡単に超一流店と全く同じ味を作ることができるCold Brew(=水出しコーヒー)のレシピと、コツを紹介しよう。

HARIO(ハリオ)水出しコーヒーポット
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水出しコーヒーとは?アイスコーヒーの違いは?

水出しコーヒーとはコーヒーの抽出にお湯ではなく水をつかって作る低温抽出法のこと。

アイスコーヒーが90℃前後のお湯で抽出した熱々のコーヒーをサーバー内の大量の氷で急冷するのに対して、コールドブリューは水により成分を溶け出させるため非常に長い時間がかかる。
 麦茶を作るときのイメージだね、ゆっくりゆっくり旨味が溶け出していくんだ

 

なぜ水出しコーヒーは美味しいのか?

なぜ水出しコーヒーは美味しいのか??
苦味や渋みのもとになる成分は水には溶けにくいため。結果として高温抽出と比較して酸化しづらく、雑味が抑えられたマイルド(まろやか)な味となる。

専門店でコールドブリューを飲んで感動する人の多くが、なめらかな口当たりと、コーヒー本来の果実感、そして缶コーヒーやコンビニコーヒーでは決して味わえない『甘み』を感じることで魅力にハマっていく人が多いとか。
 甘みといってもガムシロとかミルクの甘さじゃないよ。コーヒーは果実なんだって初めて気付かされたよ

 

理論的には冷たい飲み物に対して人間の舌は酸味を感じやすくなる一方で、苦味と甘味は感じづらくなる。しかしCold Brewでは苦味が抑えられ、丸みのある抽出となるためアイスコーヒーには無い甘味を感じることができる。

 

水出しコーヒーを美味しくつくるコツ

9割の人が知らない美味しくつくるコツは“抽出時間”にあるHARIOの公式サイトや、大半の水出しコーヒーのレシピ紹介でも抽出時間を8時間としているが、これを12〜16時間漬け込むのがポイント。具体的な作り方は以下のとおり。

 冷蔵庫内で浸漬時間 8時間→16時間

その日の好みで抽出濃度(浸漬時間)を簡単にコントロールできるのがコールドブリューの醍醐味。

 浅煎り…16時間

 中浅煎り〜中煎り…14時間

 中深煎り…12時間

ポットに水を注ぐ【HARIO水出しコーヒー600】

説明書では粉に少量ずつ水をドリップするように書かれているが、浸漬式なので蒸らしは不要。むしろ抽出ムラが出やすくなるので、始めに使用する水の量(650ml)を全て注ぐ。

※わざわざ飲料水を買ってこなくても、沸騰した湯を常温まで冷まして利用すればOK。カルキは飛ばしておかないと抽出後の味に悪い影響が出るので、そのままの水道水を利用しないこと。

よくある質問 〜水出しの水温について〜

他サイトでは使用する水は冷蔵庫で冷やしたものを使用する方が良いと言っていたが?

誤り。水温は常温が適している(20℃程度)。溶けた氷から抽出している滴下式の水出しコーヒーのイメージだと思われるが間違い。水温が低すぎるとコーヒーの粉から成分を十分に抽出できず味わいが軽くなりすぎてしまう。

おそらくこれは水出し緑茶や紅茶とも混同されているのだと思う。あれは、水出しの際には冷たい水を用いることで渋み成分のカテキンの抽出を抑制させえてまろやかな味わいを求めている。

コーヒーで同じことをやってしまうとせっかくのスペシャルティコーヒーの香りや旨味が未抽出となり易く、濃度が薄くなってしまう。「常温抽出から冷蔵庫に入れると抽出されたコーヒーに温度差ができて味にブレが」…というのも間違い。前述のとおり水出しは低温抽出のため抽出時の酸化が抑えられている。そのため高温抽出と比較すると温度変化による酸化の影響は非常に少ない。

 一度キンキンに冷えた水で抽出したコールドブリューと、常温の水で抽出したコールドブリューを飲み比べてみるといいよ。香りと味の奥行きが一目瞭然だから

コーヒー豆を用意する 50g

水出しコーヒーは、豆自体が持つクオリティをより鮮明に抽出できる飲み方。そのためスペシャルティコーヒーとの相性が抜群に良い。驚くような体験ができるので美味しい豆を用意してみよう。

<今回使用した豆>
店舗名  : 27COFFEE ROSTERS
産地   : エチオピア ブク
精製方法 : ナチュラル製法
焙煎度  : 浅煎
店舗HP   : http://27coffee.jp

ここも説明書では『浅煎りの珈琲はコクと香りが十分に引き出せません』との記載があるが、寧ろ逆である。水出しコーヒーでは、ゆっくりと時間をかけて成分を余すこと無く引き出すことで

アイスコーヒー = 苦味を楽しむ

とされてきた常識を覆し、コーヒー豆の産地ごとに異なる豆本来の味を愉しめるのである。

中挽きにグラインド

ここでも説明書では中細挽きを推奨しているが、中挽きにするのがポイント。中細挽きは6-8時間で抽出する際には向いている(粉が細かいため水の吸収率、触れる面積が多いため)が、今回提案するような12-18時間抽出には不向き。

美味しいCold Brewはゆっくりゆっくり成分を溶け出させることがコツ。←すごく大事
 出汁なんかと一緒で美味しいものは”時間をかけてゆっくりと”なんだね

ストレーナーをポットにセット

ストレーナー内の粉を優しく撹拌。水に浸すための撹拌なので強く混ぜすぎないこと

タイマーをセットして12〜18時間待つ

携帯のアラームはとても便利。出来上がり時だけでなく、待受画面にあと何時間で完成するかを常に表示してくれているので、粉の取り出し忘れが無い。

出来上がり

18時間漬け込むと写真のようにしっかりと抽出される。豆の旨味すべてが、ゆっくりと抽出されたコーヒーの味は他のどんな淹れ方のコーヒーよりも贅沢で格別のように思う。

ぜひ感じてもらいたいのは『香り』だ。アイスコーヒーや水出しコーヒーの教科書には記載されていることの多い、水出しコーヒー(コールドブリュー)の弱点。これは湯で抽出した際の部屋中に広がるようなコーヒーの香りが無いこと。

これも完全に間違い。本当に美味しいスペシャルティコーヒーから水出し抽出をしてみて欲しい。甘く虜になるこの果実感あふれるコーヒーの香りが僕は大好きだ。水出しでは香りが楽しめないというのは誤り。上手に抽出できれば芳醇な香りを存分に愉しめるはずだ。

後片付け

HARIOの水出しポットはストレーナー下部を外せば簡単にコーヒーの抽出後の粕を取り出せる。フィルターの素材も耐久性と、抽出効果のバランスがよくおすすめ。

 

気になるコスト面は

缶コーヒーを卒業して本格的なコーヒーを知りたいと思ったときに、気になってしまうのがコストの面だ。缶コーヒーや固形のコーヒー粉が日常の習慣となっている人にとっては、それ以上の高い費用を払うのにはどうしても抵抗がある。

今回使用した豆はスペシャルティコーヒーの取扱店としては非常に有名な27コーヒーロースターズの豆を使用しているが、100グラムあたりでは921円という価格である。高価な部類に入るが、【HARIO水出しコーヒー600】では50グラム × 2回転 = 8杯(150グラム/1杯)の抽出が可能。

これは1杯あたりの価格にすると115円と非常にリーズナブルで国内最高峰のコーヒーを味わうことができるのだ。大した手間も無いため、まずは近所のロースター(自家焙煎店)を探して試しに飲んでみてほしい。

 

終わりに

暑い日にはアイスコーヒーも美味しいけれど、ちょっとだけ手間をかけて贅沢に水出しコーヒーを飲んでみてほしい。青山・表参道の日本を代表するコーヒーショップの店員さんは「水出しコーヒーが一番ですよ。本当に最強です」なんて言っていたけれど、本音なんだと思う。

ちなみに米国の有名ロースター『STUMPTOWN COFFEE ROASTERS』では水出しコーヒーの抽出時間を14-18時間で推奨している。そして20時間以上の浸漬時間は木質の雑味が出るため避けるべきだとのこと。また美味しく飲める期間を1週間程度としている。

慣れてしまえば手軽だし、コスパも優れる水出しコーヒーはCoffeeLoverを虜にする夏場のCoffeeLifeを幸せにする必須メニュー。まだ飲んだことの無い人も、面倒くさくて敬遠していた人も、ぜひ一度試してほしい。このまろやかさと、果実の甘さはあなたのコーヒー体験を全く新しいものにしてくれることだろう。

HARIO(ハリオ)水出しコーヒーポット
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